La Sera : 再出発はパンキッシュに

USインディー・シーンのガールズ・バンドの中でもキュートで親しみやすそうな文化系で、パンクと言うよりもグランジを掻き鳴らす稀有な存在だったVivian Girlsの解散発表は本当にショックだった。彼女たちの音楽に恋していたナードなロック好き男子は特に寂しさを感じているはずだ。

しかし、いつまでも悲しんでいる場合ではない。そう言わんばかりに、3月のラストライヴからわずか2ヶ月後、Vivian Girlsでベーシストを務めていたKaty Goodmanのソロ=La Seraのニューアルバム『Hour Of The Dawn』が届けられた。やはりこういう時は女性の方が強く、切り替えがさっぱりとしている。La Seraとしてはこれで3作目となるが、「夜明けのとき」というタイトルが示すように、今作は明らかにターニング・ポイントとしての意味合いを持った、過去2作とは雰囲気が大きく異なる心機一転のアルバムである。また、そういった部分はサウンドにも現れている。これまでも軸にあった60’s ガール・グループとフォークの柔らかさに、新たに、Black Flag的なパンク/ハードコアや80’s パワー・ポップの衝動が加えられており、これがなかなか爽やかな仕上がりになっている。新たなメンバーを迎えてバンドとして制作したことは、新作のサウンドと完成度にどのぐらい影響しているのだろうか。約1ヶ月のアメリカ&ヨーロッパ・ツアーを終えたKaty女史から、5月に出したインタヴューメールの返事が返ってきた。

── アルバムの1曲目“Losing To The Dark”から、ギターもドラムも、Katyのヴォーカルも、パワフルでアグレッシヴで興奮しました! ニューアルバムの『Hour Of The Dawn』はアグレッシヴな作品にしてイメージチェンジをしようというのは、以前から考えていたんですか?

Katy Goodman(以下、Katy):うん。絶対にこれまでよりもっとアグレッシヴな作品にしたいと思ってたの。だから、気に入ってもらえて嬉しいわ!

── 『Hour Of The Dawn』に関するあなたのコメント内で、例としてBlack Flag、Minor ThreatThe Pretendersといったバンドの名前が挙がっているように、今作はパンク/ハードコアといったジャンルが重要なテーマになっていますよね。もとから先ほど挙げたようなバンドから影響を受けていたんですか?

Katy:もちろん。パンク/ハードコアの世界観でもって音楽を作ることに夢中なの。そうすることが1番気持ち良いしね。今作はある程度パンクの攻撃的な部分を良い具合に盛り込むことができたわ。

── その一方、同様に『Hour Of The Dawn』を表現する発言の中で、あなたがLesley Goreの名前を挙げていたのも非常に興味深いと思いました。あなたがLesley Goreから影響を受けたことは何ですか?

Katy:私自身としては、60年代のガール・グループ、中でも特にLesley Goreのように女性らしく、高い声になったと思うわ。

── 『Hour Of The Dawn』を作るにあたって、あなたをバックアップするメンバーとバンドを新たに組まれたそうですが、なぜバンドを組まれたんですか?

Katy:La Seraの活動に参加するメンバーのラインナップは、みんなのスケジュールや他の活動によって、常に流動的かつ柔軟に変えてるの。ギタリストのTodd(Wisenbaker)がLa Seraに加入したのは2年前ね。あと、彼がこのアルバムに及ぼした影響は計り知れないわ。

── Toddとは以前から知り合いだったんですか? 『Hour Of The Dawn』を語る上では重要な人物だと思うので、ぜひ彼のことを紹介してください。

Katy:彼は最高よ! 彼に出会ったのはLa SeraのツアーをJenny And Johnnyと一緒にやった時で、彼はJenny And Johnnyのリードギターをやってたの。彼はシュレッダーよ(ギターを歪ませて早弾きするのが得意なギタリストのこと。1曲目“Losing To The Dark”を聴けばどういうものか分かるはず)。

── Toddが『Hour Of The Dawn』に関して「僕たちは流行り廃りのないアメリカのレコードを作りたかった」とコメントしていましたが、Katyにとっての「アメリカのレコード」というのはどういうものですか? 具体的にバンドやアルバムを挙げて教えて下さい。

Katy:私たちはTom PettyとかThe Pretendersみたいな80年代のアメリカン・パワーポップを目指してたの(※ The Pretendersはイギリスのバンド)。ストレートなロックンロールをね。ギターソロやハーモニーが素敵な時代よ。

── 今回はバンドと一緒に曲を書いたそうですが、どういうプロセスで曲を書いたんですか? リリックは全てあなたが書いたんですか? 制作のプロセスにおいてこれまでの作品と異なっていた部分についても教えてください。

Katy:Toddが書いた“10 Headed Goat Wizard”以外は、リリックは全て私が書いたの。過去2作と異なっているのは、今回は私がバンドのところにデモを持って行って、それをみんなで一緒に具体化していく、っていうプロセスだったことね。以前は、プロデューサーがいて、ただ私のデモを再録しただけだったんだけど、今回はバンドでサウンドだけじゃなく歌そのものも、しっかりと形づくっていったわ。

 

── 過去2作品はどちらも非常にパーソナルな内容の作品だったように思います。『Hour Of The Dawn』では、“Summer Of Love”や“All My Love Is For You”というタイトルを始め、リリックからも恋愛に関する言葉がいくつか見られますが、もしかして新作のテーマである”Hour Of The Dawn”というフレーズも恋愛的な意味で用いていますか?

Katy:新作でテーマにしていることは、「新たな始まり」よ。再出発しよう、ということ。愛は私が曲を書くときの不変のテーマでもあるわね。

── 僕はあなたがアーティスト名を「La Sera」にした理由の話が好きなんですが、アルバムやトラックのタイトル、またリリックに使用する言葉のインスピレーションは、特にどういったシーン/シチュエーションから受けるんですか?

Katy:私はいつも偶然にインスパイアされるの! 全ての人生経験が私の歌を助けてるのよ。

── 『Hour Of The Dawn』のアートワークは、Poison IdeaのTシャツを着ているあなたが頭を振って踊っている写真ですが、この写真はアルバムの雰囲気に合わせて撮影したものなんですか?

Katy:違うの! 去年の夏に私が偶然Poison IdeaのTシャツを着ていた時に、友人のEddie O’Keefeが撮った写真なの。彼のブログでこの写真を見た時、すぐに彼に「この写真をアルバム・カヴァーに使いたい」って言ったの。アルバムの雰囲気を完璧に捉えた写真よね。

── ところで、右腕に入っているタトゥーは何かを意味しているものだったりしますか? 僕には鍵に見えたんですが。

Katy:これは女の子が猫と一緒にヒッチハイクをしている絵なの。

── Vivian Girlsは1月に解散してしまいましたね。とても悲しかったです。3月にBaby’s All Rightで行ったラストライヴはいかがでしたか?

Katy:楽しかったけど、とてもエモーショナルだったわ。Vivian Girlsは私たちの人生の中で非常に重要な一部だったから、ライヴの後しばらくの間は喪に服しているような気分だったわ。

──あなたも、Cassie(Ramone)もAli(Koehler)も、引き続きそれぞれ個人で音楽活動をしていくと思いますが、あなた自身は「Vivian Girlsイズム」みたいなものは永遠に心の中に残り続けると思いますか?

Katy:もちろんよ 🙂

Text  & Interview : Hiromi Matsubara
Posted this interview at Advantage Web.

Advertisements